アプリケーションノート
臨床グレードヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量凍結保存の実践
藤田医科大学東京 ミルテニーバイオテク株式会社 ワケンビーテック株式会社
我々は、これまでにヒトiPS細胞、間葉系間質細胞、研究グレードヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量凍結、保存、解凍を実施してきました。その結果、大容量の凍結保存でも従来実践されているバイアルサイズの液量の凍結保存と遜色ない活性の維持と本数軽減による工程時間の短縮を確認することができました。最終段階として、臨床グレードヒトiPS細胞由来心筋細胞でも同様の工程を行い、大量凍結保存の有用性を検証しました。
本実験データは、藤田医科大学東京 先端医療研究センター 遠山研究室のご協力により、取得致しました。
細胞凍結工程

作業時間
本数の多いバイアルよりもバッグの方が圧倒的に時間短縮可能
| 50mL クライオマックス 細胞凍結バッグ |
2mL凍結バイアル | 対照凍結バイアル | |
![]() |
×13本 |
×1本 |
|
| 液量 | 20mL | 1.5mL×13本 | 1.5mL×1本 |
| 緩慢凍結法 | プログラムフリーザー | BICELL | BICELL |
| 解凍法 | ThawSTAR CB細胞融解ステーション | 37℃ウォーターバス | 37℃ウォーターバス |
◆ 凍結保存溶液
◆ 凍結保存バッグ
◆ 凍結バッグ解凍装置
作業時間
大幅な時間短縮が可能となった。
バイアルでは、1度にすべてのバイアルを処理しきれないため、1セット4本で処理しても時間がかかる。保存液量が増えれば増えるほど、繰り返し作業の回数が時間に比例し、各リスクを高める可能性がある。

細胞評価結果
心筋細胞の拍動
安定した拍動を示した。
4日培養後の拍動数/分と収縮速度を測定した結果、心筋細胞は、バイアルでも凍結バッグでも安定した拍動を示した。

生存率と回収率
凍結バッグでもバイアルと遜色なし。

免疫染色
凍結バッグでもバイアルと同等。
凍結バッグ解凍後の心筋細胞の接着性とα-Actininの発現は、バイアルと同等であることを確認した。
一連の細胞の大量凍結保存の実践
藤田医科大学東京 ミルテニーバイオテク株式会社 ワケンビーテック株式会社
我々は、これまでにiPS細胞、間葉系間質細胞の大量凍結、研究グレードおよび臨床グレードヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量凍結保存と解凍後の培養を実施しました。医療、研究、生産で利用する細胞が最終的に大量になる場合、そのワーキングセルバンクは、大量でも品質に問題がないことを検証しました。以下に一連の細胞種での結果を記します。
結果
ワーキングセルバンク、細胞製品での細胞凍結バッグのご利用は、その工程で利用できる材料も揃っており、どの細胞種、目的でも有効であることが判明した。
①研究用ヒトiPS細胞の大量凍結保存
容量:70mL細胞溶液(250mL凍結バッグ)
状態:6週間凍結保存
凍結細胞数:35×10E7cells
(=5×10E6cells/mL×70mL)

250mLバッグでの70mLという大量でも問題なく
凍結保存解凍ができ、工程の時間短縮に効果があった。
250mLバッグの細胞解凍時写真
| 結果 | 70mL(250mLバッグ) | 同量での2mLバイアル (1本あたり1.5mL)47本 |
| 工程時間 | 30分 | 90分 |
| 回収後 生存率 | 95%以上 | 95%以上 |
②研究用ヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量凍結保存
容量:20mL細胞溶液(50mL凍結バッグ)
状態:2週間凍結保存
凍結細胞数:10×10E7cells
(=5×10E6cells/mL×20mL)

分化した心筋細胞でも未分化時と同様の工程時間、生存率、回収後の品質が確認できた。

解凍培養後、バイアルとバッグで心筋細胞の拍動、心筋球作製能力に差異はなかった。
③骨髄由来間葉系間質細胞の大量凍結保存
容量:20mL細胞溶液(50mL凍結バッグ)
状態:2週間凍結保存凍結細胞数:2×10E7cells
(=1×10E6cells/mL×20mL)

iPS細胞ではなく、間葉系間質細胞でも細胞凍結バッグの有効性を示せた。
FCMによるMSCマーカー発現確認
陽性マーカー:CD73、CD90
陰性マーカー:CD34、CD45

5日間培養後増殖率
未凍結細胞:4.6倍
凍結解凍細胞(Bag):4.7倍

