特集記事コールドチェーン

ヒトiPS細胞の凍結融解におけるスケールアップの検討

細胞加工製品、再生医療等製品の発展に伴い、細胞培養工程のスケールアップが求められています。
しかし、スケールアップによるデメリット、例えば培養作業効率が落ちるという懸念があります。
ワケンビーテック株式会社とミルテニーバイオテク株式会社は、慶應義塾大学医学部循環器内科遠山周吾先生の研究グループにご協力いただき、細胞の凍結融解における50mL凍結バッグを用いた予備実験において、細胞の増殖を確認し、スケールアップに成功しました。
そこで、実際の細胞加工製品の保存液量に到達させるためのスケールアップとして、250mL凍結バッグに関する検討を実施しました。また、検討には凍結バッグ融解装置であるThawSTAR CBとクライオマックス凍結バッグを使用しました。

ThawSTAR CB
実験:
1.5mL/本のバイアル47本分を対照として、250mLバッグとの比較を検討(250mLバッグの最大量は70mL)

[細 胞]ヒトiPS細胞

[容 量]70mL細胞液(クライオマックス凍結バッグ250mL)

[凍結期間]約1.5カ月

[凍結液]STEM-CELLBANKER®

[濃 度]5×106cells/mL

2mLセラムチューブ47本* 47本を操作した想定で5本を凍結融解した。5本の作業時間から2名で47本を操作するのに必要な時間を換算。
47本バイアル 250mLバッグ コントロール(1本)
ラベル作業 20分 1分 1分
凍結作業 20分 7分 1分
融解作業 90分 30分 13分
合計作業時間 130分 38分 15分

処理本数が多くなるとコンタミリスクが高くなる可能性がある。

47本バイアル 250mLバッグ コントロール(1本)
凍結細胞数(×106) 352 350 7.5
融解結果 Viable cells(×106) 205.32 222.60 5.69
Viablity 97.5 95.5 97.5
回収率 58.2 63.6 75.8

*回収率=融解後Viable cells/凍結細胞数×100


結果
ヒトiPS細胞の凍結融解において、
バッグサイズを50mLから250mLへ

スケールアップすることに成功!!

バッグ使用により凍結融解に起因する

ヒトiPS細胞へのダメージが低減!!

回収率、融解後の増殖性、
作業性ともにバイアルより

バッグの方が良好であった!!

バッグ使用により作業時間の

大幅な短縮を実現!!

ワケンビーテックが揃える機材で、医薬品製造への対応、管理も可能です

細胞凍結工程

▶細胞凍結バッグ
クライオマックス凍結バッグ(ミルテニーバイオテク)
医療機器登録済の安心かつ安全な凍結バッグです。50mLから1000mLまでのサイズが存在し、世界中で入手が可能な世界標準となるバッグです。


▶保護バッグシーラー
バリデーション対応シーラーVMS163B(シール栄登株式会社)
バリデーション可能な真空パックシーラーです。クライオマックス凍結バッグの保護バッグを問題なくシールし、サンプルの二重包装を実現します。


▶アルミニウムキャニスター(フィンガルリンク株式会社、Custom Biogenic Systems社)
クライオマックス専用として開発されたフィンガルリンク社製に加え、汎用性の高いアルミキャニスター(CBS社製)も用意しています。


▶プログラムフリーザー
FZ-3100(ストレックス株式会社)
IQOQ可能で、スターリングエンジンを利用した液体窒素を使わないプログラムフリーザーです。
CPCなど、気密性の高い製造現場に最適なプログラムフリーザーです。

細胞保存搬送工程

▶搬送容器
アイスバケツ4L、9L(biocision)
断熱性とクリーン度の高い蓋付きのバケツです。ドライアイス、液体窒素対応品


▶液体窒素保存容器
Fusion(MVE Biological Solutions社)
IQOQ可能で、特長として、最初の液体窒素の充填以降、液体窒素の補充を必要としないランニングのコストパフォーマンスにすぐれた保存容器です。

細胞融解工程

▶凍結バッグ融解装置
ThawSTAR CB(BioLife Solutions社)
IQOQ可能で、特長として、水を使わず、装置が最適な融解を実行します。1台で50mLから750mLサイズの凍結バッグの融解に使用できます。
融解時間は最大でも10分以内に終了します。


ベッドサイドでの最適化のための導入にも対応可能な製品群です。

※上記製品は、クライオマックス凍結バッグを除き、全て研究用製品です。

本資料や上記製品に関するご質問等は以下のお問い合わせボタンからお問い合わせください。

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