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高度生殖補助医療(ART)に関連する製品のご紹介

近年、技術の進歩によりさまざまな生殖補助医療が開発され、多くの方々が新しい生命を迎えるサポートを受けています。
厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」によると、令和3年(2021年)に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の数は「約4.4組に1組」となっています。平成19年(2007年)以降、全体の出生率は下がっているものの、妊娠を望み、検査や不妊治療を受けるカップルは年々増加傾向にあります。また令和4年(2022年)4月からは不妊治療が保険適用となり、今後ますます不妊治療に対しての関心が高まっていくことが予想されます。

保険適用となった不妊治療の種類

一般不妊治療 タイミング法、人工授精
生殖補助医療 採卵・採精、体外受精・顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存、胚移植

 

生殖補助医療(ART)とは?

不妊症の治療法には、一般不妊治療と生殖補助医療(ART)があります。
ARTとは、Assisted Reproductive Technologyの略称で、生殖を補助することを目的に行われる治療法のことで体外受精や顕微授精などを指します。

 

ARTの流れ

 

 

インキュベーターの選択と管理

病院やクリニックの培養室のように機器類の設置場所が限られている場合は、小型の加湿型または無加湿型のインキュベーターがおすすめです。CO₂インキュベーターとは温度、湿度、CO₂濃度を一定で安定した環境にすることで、細胞をより生理的条件に近い状態で培養する機械です。そのためCO₂ガスの供給が止まってしまうと細胞の生存に悪影響を及ぼします。ガスシリンダーオートチェンジャーはボンベからのガス供給が止まった場合、自動的に新しいボンベに切り替えを行い安定的にガスを供給することで、大切な細胞を守ります。

MIRIシリーズ マルチルームインキュベーター
MIRI シリーズマルチルームインキュベータは、胚培養に特化した無加湿型インキュベーターです。1台に複数のチャンバーを備え、チャンバー毎に温度制御・ガス供給しているため、開閉のたびに他のチャンバーに影響を与えることなく目的のチャンバーにアクセスすることを可能にしました。体外受精を行うクリニックや研究施設用に設計され、安心・安全に培養胚の取り扱いができます。
MINIcell 35SE コンパクトCO₂インキュベーター
小規模なラボでも使いやすいよう設計された小型モデルの決定版です。明るく見やすいタッチパネルと高性能のIRセンサーを搭載しています。オプションで低酸素制御機能や外部出力機能も利用できます。
CelCultre CO₂インキュベーター モデル50L
小規模なラボでも使いやすいよう設計された最新のインキュベーターです。50L の小型ながら高性能IRセンサーを備え、業界最高クラスの温度・ガス濃度制御を実現しました。また、抗菌コーティング、銅チャンバーを選択可能など、コンタミ対策もよく考えられたモデルです。また、低酸素制御機能も付けられます。
ポータブルCO₂ガステスター GT100
ワケンビーテック株式会社が設計、開発した国産ポータブルガステスターです。設計から製造まで国内で行っている国産品です。
コンパクト設計のため、持ち運びが容易で、日常的なインキュベーターのCO₂濃度チェックに最適な製品です。カラー液晶画面で見やすく、シンプルな操作で誰でも簡単に使用できます。
ガスシリンダーオートチェンジャー MODEL8500
CO₂インキュベーターの重要なパラメーターの一つであるCO₂のガス切れを防ぐための装置です。本装置に2本のボンベを接続し、使用中のガスボンベの残圧が設定値以下(最小10kPa)になると、自動的に予備のボンベに供給を切り替えます。

 

胚の状態確認や操作のために特別に設計された製品

培養器から胚を取り出すことなく、培養胚の発育過程をモニタリングできるタイムラプス機能や、選択した培養胚に注釈をつけるアノテーション機能を備えたインキュベーターの他、クリーンな環境で培養胚を操作できるワークステーションも取り扱っています。

MIRI TL タイムラプスインキュベーター
タイムラプス機能を付加した無加湿マルチルームインキュベーター(6または12培養チャンバー)です。特別に設計された内蔵型顕微鏡、赤色LED照明、カメラユニットを用いて、培養チャンバーから取り出すことなく、受精卵から胚盤胞までの胚発育過程をリアルタイムに継続的にモニタリングできます。そして好きなタイミングでアノテーション(注釈付け)ができます。各チャンバーは完全独立設計のため、培養ディッシュを個別に管理することができ、他チャンバーのドア開閉による環境ストレスの影響を全く受けません。また、培養チャンバー下をカメラユニット移動して撮影するため、培養ディッシュが動くことはありません。これにより理想的な培養環境が維持されます。
【専用培養ディッシュ】カルチャーコイン
  • MIRI TLインキュベーターの培養チャンバー1つにつきカルチャーコイン1枚をセット可能
  • 個々にナンバリングされた14個の培養ウェル
  • 単一培養、分離培養用に各胚が独立した環境で培養可能
  • 高湿潤能力(吸湿性)のための酸素プラズマ処理加工済
  • pH測定用の別ウェル付き
  • ガンマ線滅菌済
  • 1箱25枚入り(個別包装)
マルチゾーンワーク ART ステーション(MIRIチャンバーモデル)
クリーンルーム技術におけるEsco社の世界クラスの専門性と品質を活かし、胚の状態確認や操作のために特別に設計された高度なワークステーションです。ワークエリアをISO 14644‐1、ISOClass3の空気清浄度に保つため、常に垂直気流層流でクリーンエアーを供給し最適な安全性を保証します。3、4および6フィート(1フイート:30.5cm)サイズがあり、用途に合わせて実体顕微鏡、倒立顕微鏡、ワークエリア加温システムそしてMIRIインキュベーターを組み合わせることができます。採卵、IVF、ICSI、観察、受精卵の凍結保存・融解など全ての作業を行うことができます。

 

安心・安全をサポート

配偶子や胚(受精卵)を凍結保存するための液体窒素保存容器のほか、液体窒素残量を重さで管理する液体窒素残量監視装置を使用することで、貴重なサンプルを安心して保管することができます。また、低温でも貼り付けることができる超低温用ラベルや、バーコードの読み取りで体系的に管理できるラベルなど、配偶子の取り違え防止などに対応する製品も取り扱っています。

MVE 液体窒素凍結保存容器 XC/SCシリーズ(キャニスター収納タイプ)
小型ながら、丈夫で軽量な液体窒素保存容器です。-180℃以下の超低温下での安定保存が可能です。
液体窒素残量監視装置
  • 液体窒素の残量を確認しやすいLCDディスプレイ搭載
  • 下限値ブザーを設定可能
  • キャスターを標準装備(キャスター固定部品(ストッパー)付き)
  • LANケーブルをつなぐことでメール送信可能(オプション)
超低温用特殊ラベル フリーザーボンド
フリーザー・ボンド(B490ラベル)は、材質は0.0254mm厚のつや無し白色ポリエステルにアクリル系永久粘着剤を塗布した熱転写印字用ラベルです。凍結面にも永久粘着可能なラベルです。フリーザー・ボンドは、検体が溶けることによる品質の劣化なく検体識別を可能にしました。既に冷凍された検体サンプルを識別するのに最適なラベルです。

 


参考資料

厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」

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