特集記事培養関連

加湿環境下で使用できる培養関連装置


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1.CO₂インキュベーターについて

CO₂インキュベーターは一般的に、37℃の温度制御、5%CO₂濃度制御に加えて、培地の乾燥を防ぐため、庫内の湿度が飽和に近い状態で運用します。
一般的には、シャーレやTフラスコを入れて使用しますが、スケールアップや効率的な培養のため、シェーカーやスターラーなどの各種装置を入れて使用する場合があります。

ただし、庫内の環境は高湿のため、装置を中にいれる場合、その装置は耐湿性を有していることが必須となります。耐湿性のない装置を庫内へ入れると、漏電、故障につながりますので、絶対にお止めください。

2.CO₂インキュベ―ター内に設置可能な浮遊培養用装置

CO₂インキュベーターで培養する動物細胞には、浮遊細胞と接着細胞があります。小スケールでは、どちらも専用容器のみでCO₂インキュベーターの棚に置く静置培養で行いますが、スケールアップの際には専用の培養装置が必要となります。
弊社では、浮遊、付着どちらの細胞にも対応できる各種培養装置を取り扱っております。
本項目では、浮遊細胞培養のための加湿対応装置についてご紹介いたします。

浮遊細胞のための培養装置
浮遊細胞の培養法には、2つの方法があります。

  • 攪拌羽(インペラー)による攪拌培養

    利点:古くから実績のある方法で、スケールアップを検討しやすい
    欠点:煩雑

  • 三角フラスコでの振とう培養

    利点:ディスポの三角フラスコの登場で哺乳類の細胞培養が便利に。非常に簡単
    欠点:スケールアップしにくい

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2-1.攪拌培養のための培養装置(加湿対応)

加湿対応マグネチックスターラー

低速域から高速域まで、培養方法に合わせた回転数を設定できます。再現性の高い培養を実現する最新のスターラーです。

加湿対応マグネチックスターラーの特長
    • 加湿対応で、さまざまなタイプのスピンナーフラスコの撹拌動力として使用できます
    • WKN-1104-1Lは1Lフラスコを4本まで培養できます。フラスコ1本で400mlの培養をするなら、合計1,600mlの培養が可能となります
    • WKN-1104-3Lは3Lフラスコを4本まで培養できます。フラスコ1本で1Lの培養をするなら、合計4Lの培養が可能です
    • ブラシレスDCモーターの採用により、低発熱でインキュベーターの温度制御に影響を与えにくく、高湿度下で高寿命を実現しました
    • 回転数は目視しやすいデジタル表示です

詳細は製品ページからご確認ください。

2-2.攪拌培養に使用するスピンナーフラスコのご紹介

各種培養用スピンナーフラスコ

弊社では攪拌培養に確かな実績を持つ、Chemglass社のガラス製スピンナーフラスコを取り扱っております。

Chemglass製スピンナーフラスコの特長

Chemglass社のスピンナーフラスコは下記のような特長を有しています。

  • オートクレーブ(121℃ 20分)滅菌可能で、耐久性が高く再利用が可能です
  • インペラーや磁石はテフロン加工済みで培養液に影響がありません
  • テフロン部のみが攪拌動作を行うため、コンタミしくい構造です
  • ガラスやプラスチック部品は高品質なものを採用しています

詳細は製品ページをご覧ください。

2-3.振とう培養のための培養装置(加湿対応)

RemoteShake 加湿対応ロータリーシェーカー

本製品は加湿対応、低振動、静音設計で、インキュベーター内での攪拌培養に最適なシェーカーです。

RemoteShakeの特長
  • シリコンマットが付属で、250mLフラスコ培地100mL、120rpmでは置くだけで培養可能です
  • 低振動で、静音設計
  • 回転数は目視しやすいデジタル表示です
  • 各種オプションラックを用意しているので、様々なフラスコを利用できます
  • オプションラックは、シリコンマットの上に置くだけで設置できます。 スプリング式万能ラックからマイクロプレート用など、様々なオプションラックをご用意しています

詳しくは製品ページからご確認ください。

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3.CO₂インキュベ―ター内に設置可能な接着培養用装置

接着系細胞の培養スケールは、培養面の表面積に依存しますので、スケールアップするには表面積を増やす方法しかありません。
本項目では、培養面に接着して増殖する、接着系細胞の培養にお使いいただける加湿対応装置の他、ローラーボトルや高密度培養システムの特長についてご紹介いたします。

接着細胞のための培養装置
接着培養として、加湿対応機器を使用する培養法として下記の2つの方法が挙げられます。

  • ローラーボトルによる回転培養

    利点:細胞を液相と気相に交互に移動させることで、効率の良いガス交換が可能
    欠点:スケールアップしにくい(ボトル本数を増やす必要がある)

  • ファイバーマトリックスによる特殊な培養

    利点:超高密度培養が可能で、分泌物の生産に最適
    欠点:細胞を回収しにくく、回収率が低い

3-1.ローラーボトル培養装置(加湿対応)

RemoteRoll 加湿対応セルローラー

RemoteRollは、加湿環境下で使用することを前提として設計された、加湿対応の回転培養装置です。
165~180Lサイズの標準的なインキュベーターの棚板にマッチします。

RemoteRollの特長
  • ハーフボトル専用装置
  • 通常サイズCO₂インキュベーター(Forma i160)では、2段までの増設が可能で、最大6本を同時に培養可能
  • 最大増設は4段で、最大12本が同時培養可能
  • 低振動で、静音設計
  • 回転数は目視しやすいデジタル表示です

詳細は製品ページをご覧ください。

回転培養装置によるローラーボトル培養の利点
シャーレ類では、下図のように、シャーレ底面だけで増殖するため、培養面に制限があります。

一方、ローラーボトルでは、下図のようにボトルを回転させて培養するため、ボトル側面全体(ピンクの部分)が培養面となります。

また、細胞を液相と気相に交互に通過させることで、効率の良いエネルギー・ガス交換が可能です。

3-2.高密度培養システム

BelloCell 高密度培養システム

ESCO Bioengineering社 BelloCell 高密度培養システム は、今までに類を見ない画期的なディスクベッドとエアレーションシステムにより、高密度培養を極めて簡単に実現します。モノクローナル抗体や組換え蛋白質、膜蛋白質、ウイルスなどの生産スケールへの移行、大量スケールへの移行をご検討の方に最適です。

BelloCellの特長
  • BelloCellボトル内にある多孔性キャリアーに細胞を付着させ、高密度に培養します
  • 最大4本を同時に培養可能
  • 灌流システムの採用で、安定株の有用物質分泌では、超長期間分泌培養が可能
  • 専用のグルコースモニターで培地の栄養源管理が可能
  • 細胞の足場となるBioNOCⅡキャリアは、脅威の表面積を実現
    1本当たり5.5gのBioNOCⅡキャリアは、T25フラスコ約1,000個分の表面積に相当します

詳細は製品ページをご覧ください。

BelloCell高密度培養システムの利点BelloCellの培養原理はローラーボトル培養と同じですが、細胞接着部が固定されており、細胞にとっては非常に良い環境を提供します。下図のように、ローラーボトルは足場が回転するため、飽和時には回転の振動で細胞が足場から剥がれやすくなります。一方、BelloCellは培地のみが動くため、細胞に与えるシェアストレスが最小限です。

【一般的なローラーボトル】
【BelloCell】

また、BelloCell1本あたりに含まれる5.5gのBioNOCⅡマイクロキャリアは、T25フラスコ1,000個分に相当する表面積を有しています。

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4.Tフラスコとローラーボトル・BelloCellの培養面積比較

前項でも記載した通り、ローラーボトル、BelloCell高密度培養システムを利用することで、培養スケールを大きくすることが可能です。
下表は、10cmディシュや、T75フラスコ等と、ローラーボトル、BelloCellの表面積や、培養可能な細胞数を比較したものです。
ディッシュやフラスコと比較し、ローラーボトル、BelloCellは極めて大きな培養表面積であることがわかります。

種類 10cmディッシュ T75フラスコ T175フラスコ ローラーボトル BelloCell
培養表面積(㎠) 55 75 175 850~1,750 8,640
*細胞数(個) 2.2×10⁶ 8.4×10⁶ 18.4×10⁶ 7.0×10⁷~2×10⁸ 2~4×10⁹
培地量(mL) 10 8~15 15~30 200~400 500~2,000

*HeLA細胞

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