ピペット・ピペットチップ

ピペッティングの基本的なテクニック(RAININ)

ピペッティング操作は、精度や再現性に大きく影響します。
以下の基本的なテクニックを知り、実践することで、実験の成功へと導きます。
ピペットを触ったばかりの初心者はもちろんのこと、ベテランの研究者まで役立つ情報かと思いますので、ご一読いただければ幸いです。

ピペッティングのテクニック

チップを浸す深さ


適正な深さでチップを浸すことで精度を最大 5% 向上できます。ここに示す深さを推奨します。浸す深さが深すぎると、圧力の増加により多量の液体が吸引される可能性があります。
一方、チップを浸す深さが十分でないと、空気が吸引される可能性があります。
いずれの場合も、容量が不正確になります。


チップを浸す角度


浸す角度をできるだけ垂直に維持することで、精度を最大2.5% 向上できます。ピペットは垂直軸から 20° 以内の角度を維持してください。 それを超えると測定に影響を及ぼすことがあります。


チップのプレリンス


プレリンスにより、精度を最大0.2% 向上させることができます。
プレリンスは、細い径のチップ内部への毛細管現象を防ぐことができます。
また大容量チップの場合、チップ内部の空気の温度とサンプルの温度を均一にするのに役立ちます。


リズムとスピード

一定のピペッティングリズムとスピードは、精度を最大 5% 向上させます。
速すぎる吸引や「突発的な」吸引は、サンプルの跳ね返り、エアゾール、シャフト内部のコンタミネーションを引き起こし、目的の容量を採取できない可能性があります。


吐出


正しい吐出により、精度を最大 1% 向上できます。チップの先端を容器の壁に沿って吐出し、チップに残留しているサンプルをすべて吐出した後、開口部に残っている液滴を除去するために、チップ先端を側壁の上方向へスライドさせながらピペットを抜き取ります。水性(非粘性)液体の場合は、上図に示す他2つの方法も効果的です。


ピペット/環境

温度


ピペッティング時の理想的な温度は、21.5°C (±1°C) です。ピペットとサンプルは、室温と同じ温度であるべきです。必要に応じて、20 分間室温に順応させてからピペッティングを行ってください。
また、大きな温度変化あるいは急激な温度変化を引き起こす恐れのある、風が吹き抜ける場所あるいは太陽光が照射する場所での作業は避けてください。一定温度でのピペッティングは、5% 程度結果を向上させます。


容量対範囲


チップの最大容量の 35%~100% の範囲内でピペッティングすることで、正確性と精度を最大 1% 向上できます。最大容量の 10% 以下でのピペッティングは避けてください。


マイクロメーターの設定


マイクロメーターを現在よりも大きい容量に設定する場合は、目的の設定容量よりも約 1/3 回転余分に回してから、設定容量までゆっくりと戻してセットします。マイクロメーターのギアの遊び(バックラッシュ)による誤差を防ぐためです。


手のぬくもり


長時間にわたってピペッティングを行うと、手から伝わる熱によってピペット内部の空気が膨張して、不正確な結果につながります。
ピペッティングサイクルの間はピペットを握り続けないようにし、手で持つ代わりにスタンドに置くことで、手のぬくもりの影響を防止できます。


エルゴノミクス
 
人間工学的に正しいピペッティングを実践することで、精度とパフォーマンスが向上します。手や身体の疲労は、特に長時間にわたって大量のサンプルを扱う場合に、誤差を招きます。

  • 正しい姿勢は、疲労を緩和して怪我の可能性を軽減します。
  • フィンガーフックを装備したピペットを使用することで、定期的に手をリラックスさせることが可能です。
  • グリップを握る手を定期的に切り替えることで、疲労を軽減し生産性を向上できます。
  • レイニンの XLS ピペットは極めて軽いスプリング力と LTS(特許取得済み)を備えています。LiteTouch チップイジェクションシステムは、本質的に安全です。

ポスターデータ配布


これらピペットのテクニックをまとめたポスターデータ(pdf)が、メトラートレド社HPからダウンロードできます。
ぜひご利用ください。