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Application:細胞の凍結保存 Cell Cryopreservation

はじめに

冷凍保存には低温を利用し、生細胞を構造的に完全な状態で保存します。細胞を冷凍保存することで、雑菌混入による損失を避け、継代細胞株の遺伝的変化を最小限におさえ、そして増殖に限界のある細胞株の形質転換を回避します。細胞の凍結保存を成功させるためには、再現性のある標準化された手順に従い行うことが必要となりますが、解凍後の細胞の生存率を最大にするためには、細胞の種類や細胞株ごとに手順を最適化する必要もあるでしょう。
冷凍保存されている動物細胞には、不死化細胞株、組織から単離された初代細胞および幹細胞などがあります。通常、細胞中の水分が凍結する際に形成される氷の結晶による弊害を受けないよう、動物細胞は冷凍保存剤(DMSOかグルセロール)と共に1℃/minの速度で凍結されます。BioCisionは、細胞凍結保存用ツールとして、速度制御された凍結処理を再現性高く達成することのできる、CoolBox XTアイスフリー冷却システムCoolCell アルコールフリー細胞凍結コンテナーなどを提供しています。
 

細胞の準備

凍結保存細胞チューブの調製は、無菌状態を保つクリーンベンチやセフティキャビネット内で行われるのが一般的です。通常、細胞懸濁液は低温(0.5~4.0℃)に保つため、氷や冷却装置を用いる必要があります。CoolBox XT アイスフリー冷却システムは、ベンチ内での使用が可能で、最大48本のクライオチューブを16時間以上低温(0.5~4.0℃)で維持することができます。CoolBox XT内の冷却コアとクライオチューブ用CoolRackの高い熱伝導特性により、全てのクライオチューブの処理中の温度分布が均一に保たれます。CoolBox XTは、氷や電気、電池を必要とせず、何度も繰り返し使用できる非常に簡便でエコロジーなプラットホームです。
 

細胞の凍結

ほとんどの種類の細胞は、一般的に–1℃/minの冷却レートで凍結保存を行う必要があります。凍結にはプログラムフリーザー、あるいは–80℃フリーザーなどが用いられますが、アルコールを用いた凍結補助容器や発泡スチロールのボックスを使用する方法では、すべてのクライオチューブの凍結速度が均一でなく、再現性が得られないことがあります。CoolCell アルコールフリー細胞凍結コンテナーは、–80℃フリーザーまたはドライアイス格納容器内で、再現性の高い細胞凍結プロセスを実現し、高い費用対効果が期待できます。CoolCellを使用することにより、均一で一貫した再現性の高い細胞凍結保存が可能となるのです。

問題点
アルコールを用いた従来の細胞凍結容器で約–1℃/minの凍結速度を保つには、未使用の100%イソプロピルアルコールを連続的に供給する必要があり、その結果、ランニングコストが発生し、有害廃棄物処理も必要です。凍結保存細胞チューブの同心円状の配置では、中央のチューブの熱が外側のチューブを通り容器から抜け出るため、均一な凍結処理が阻害されます。
解決策
CoolCellは、–1℃/minの凍結速度調節にアルコールなどの液体を必要としません。断熱性容器の外側の材料、内側の合金コアリング、加えて放射状かつ対称にチューブを配置することで、すべてのチューブの熱除去を均一制御します。CoolCellを用いた凍結処理は始終一貫しており、高い再現性を実現します。

 

CoolCellを用いた凍結のしくみ

CoolCellは、–80℃フリーザーに入れることにより、すべてのクライオチューブの凍結速度を–1℃/minに制御できる受動的デバイスです。CoolCellはイソプロパノールなどの液体も必要としません。この容器設計と材料によって熱除去が制御され、均一かつ高い再現性で全てのチューブの凍結が可能となります。

  • 断熱度の高い発泡ポリエチレン断熱材は、凍結温度において優れた材質特性を持つ。
  • 対称デザインのチューブ配置が、各チューブの熱除去プロファイルを同一にする。
  • 合金コアリングが中心部から放射冷却し、外部冷却とのバランスをとる。
  • シンプルで頑丈な単一構造であるため、性能に変化がなく、製品寿命はほぼ無期限である。
CoolCellの一貫性試験。-80°C冷凍庫における連続5回の冷凍において、再現性の高い凍結プロフィールであることがわかる。

 

CoolCellと他の凍結法との違い

CoolCell アルコールフリー細胞凍結コンテナー

  • メンテナンス不要の使いやすさ
  • 冷媒劣化による性能低下がない
  • 安定した冷却速度-1℃ /min
  • 均一性に優れ、極めて高い再現性
  • 標準化された手順・方法
  • 予備冷却(4℃)不要ですぐに利用できる

CoolCellは、1.0 ~5.0 mLのクライオチューブ、細胞療法用の2.0~10.0 mLの注入可能なセラムチューブに対応します。CoolCell FTS30は、1.0 ~2.0 mLクライオチューブを30本セットし、同時凍結処理が可能です。

発泡スチロール
標準化できていない:発泡スチロールは、サイズ、形状、密度および構造がさまざまであるため、細胞凍結速度を記録することが難しい。再現性はない。
イソプロパノールを用いた容器
凍結速度は-1˚C/minとしているが、実際はチューブの位置により異なる。イソプロパノールの交換、その費用と廃棄物が継続的に発生する。イソプロパノールは各凍結処理における変数であり、一貫した再現性の妨げとなる。連続して使用する場合、次の使用まで長時間の間隔が必要となる。
プログラムフリーザー
プログラム制御できる凍結速度は再現性があり記録可能であるが、高価である。操作が難しい。広い設置スペースを要する。故障が生じる可能性があり管理・メンテナンスを要する。全てのサンプル収集場所で確保することは事実上難しい。

 

ユーザーからのフィードバック

Kevin Grady - ATCC

このデバイスは、簡便性に優れ、非常に使いやすく、研究者は、高い再現性のある標準化された方法で、ばらつきも少なく、細胞を冷凍保存することができます。

John Gardner - Senior Project Leader, Roslin Cellab

作業者が細胞培養でチューブを扱う場合、氷や液体窒素に直接接触しない環境で作業をすることができ、無菌状態の維持に大変有益である。液体窒素で瞬間凍結する手法を用いる場合、作業者とクライオチューブのどちらも液体窒素と直接接触しないため、安全性というおまけまで付いてきます。 37°Cで温度調節されたウォーターバスを用いる場合も、CoolRack 高熱伝導チューブブロックを使用すれば水と直接触れることがなく、クライオチューブ融解(解凍)のコンタミ防止に役立ち、一貫して再現性の高い解凍が得られます。CoolCellによる凍結とCoolRackを用いた解凍を組み合わせることにより、凍結−解凍プロセスの再現性が著しく向上し、解凍後の細胞生存能と細胞増殖も向上します。このシステムの汎用性は実にすばらしい。

Rohit Gupta - Stanford University

私たちは、大量のPBMCサンプルを処理し長期凍結保存するためのレジストリーを運営していますが、CoolCellを試してみたところ、現在使用している細胞凍結容器と比較して生存度がやや改善し(>90%)、イソプロパノール廃液も発生しませんでした。総合的に見て、CoolCellは凍結保存における新しい基準を打ち立てと言えるでしょう。

Matt Donne - UCSF Stem Cell Lab

CoolCellは、Mr. Frostyよりも効率的で使いやすい。イソプロパノールを加える必要がなく、スクリュートップもないので開け閉めも簡単です。-80℃フリーザーから取り出した後の無駄な時間もなく、細胞の凍結がとても簡単になりました。今後の購入はCoolCellだけにしようと考えています。

Sam Knight - Ceramisphere (Australia)

利他的な感想を述べるとすれば、CoolCellの大きな長所は、–80℃フリーザーがない場合、凍結処理にドライアイスを使用できることです。私はアルコールを用いた凍結容器デバイスでドライアイスを用いて凍結した後にLN2の中に保存した細胞や、保存がそう難しくないHeLa細胞の生存回収率の低さに1年近く悩まされた。そこでCoolCellを購入したところ、今では標準的な細胞凍結保存技術(DMS、20% NBS)を用いるだけで、解凍時にはほとんど100%の生存率を得ている。
 

凍結細胞の融解

現状の凍結細胞の融解は、凍結チューブをウォーターバスの中で主観的な終点に向かって旋回させ湯浴する、チューブを手の平の間で転がす、バイアルを脇の下で温めるというものまであります。これら全ての手法は、標準化されておらず、解凍温度や速度にばらつきが生じます。 凍結細胞のリカバリー率や生存率は、凍結過程と同様に手法に大きく影響を受けます。細胞解凍でのばらつきの根源を最小にすることは、解凍プロセスを再現可能なものに標準化するということです。米国Astero Bio社が製造するThawSTAR 凍結細胞融解ステーションは、細胞凍結保存ワークフローの最後のギャップに取り組みます。細胞解凍の不適切な手法に代わって、TawSTARは、迅速で、いつも同じで再現可能な解凍を実現します。

問題点
共用のウォーターバスを用いた凍結融解では、融解方法、融解完了の主観的な決定、コンタミネーションの可能性など複数のバラつきのもとがあります。
解決策
ThawSTARは水や融解サイクルを成功させるための操作や意思疎通を必要としません。特許出願中の温度検知技術により、最適かつ再現性のある融解プロファイルにより自動処理されます。*2018年7月現在、ThawSTARはAstero Bio社の製品です。
ThawSTARはどう機能するのですか?

ThawSTARは、特許出願中の適応力のある検知テクノロジーを搭載した、自動の凍結細胞融解システムです。複数の検知パラメータが、解凍開始時のチューブル温度、フェーズの変わり始め、融解完了を自動的に検知し、非常に再現性の高い融解曲線と工程をもたらします。

ThawSTAR凍結細胞融解システムと他の解凍手法は、どのように比較されますか?
  • 水を使わないので、共用のウォーターバスからのコンタミリスクの可能性をなくします。
  • 完全な自動検知テクノロジーによって、フェーズ変化や融解完了の、入力操作や主観的な解釈をなくします。
  • 非常に再現性の高い融解性能があり、水なしでウォーターバスと同じ解凍曲線が得られます。
  • ユニットごと、バッチごとで、非常に高い再現性が得られます。

 

ユーザーからのフィードバック

Helen Huls, Laboratory Manager of Pediatric Research, MD Anderson Cancer Center

我々のGMPプロトコルは、マスターバンクから60日ごとに細胞を解凍する必要があります。GMP施設でのウォーターバスの使用は、コンタミの懸念からまったく推奨されません。もし使う場合には、使用するごとに、完全に水を捨て洗浄しなければなりません。ThawSTARを我々のプロトコルに組み込むことで、ワークフローを能率化でき、時間を節約し、無菌状態の作業条件を強化できます。

Mars Stone, Viral Reference Lab and Repository Core, Blood Systems Research Institute

新しい細凍結融解システムのことを聞いたときに、我々のチューブ貯蔵庫からPBMCを解凍するのに、ぜひ試してみたいと思いました。ウォーターバスで解凍すると、常に、コンタミのリスクがありますし、もっと再現可能な細胞解凍手法がないか切望していました。ThawSTARシステムは、我々の懸念すべてを解決し、フードの中でも使用できるので、我々の低温貯蔵ワークフローをよりよくします。