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セルカウント(細胞計数)の歴史と自動セルカウント

はじめに

Ⅰ.用語の定義
  • 細胞
    生物体の構造上、機能上の基本単位。生命の最小単位で様々なタイプのものがある
  • セルカウント
    ライフサイエンス(診断・治療も含む)における細胞のカウントおよび定量 = 細胞濃度の計算(cells/mL)
  • 生存率
    生存率から臓器、細胞もしくは組織の能力を評価する
  • 細胞増殖
    細胞の成長および分裂の結果、細胞が増殖する

 

生存率、細胞増殖および形態は、細胞の特性を決定するための主な指標となります

 

Ⅱ.セルカウントの目的

セルカウントは、以下に示すように、様々な意図により行われます。

生物学研究分野
  • 増殖、生存率の測定のため
  • 細胞濃度、添加物の最適化および維持
  • 細胞の状態を把握するため
  • 細胞継代(特にフラスコ内の濃度を推測することが難しい浮遊細胞)

 

臨床・産業分野
  • セルカウントで得られた結果から健康状態を把握するため
  • 細胞療法を適用する患者に投与する細胞数をコントロールするため
  • 免疫細胞化学(抗体療法や細胞療法)では細胞数を標準化し、要件を満たす必要があるため

 

セルカウントの手法

Ⅰ.セルカウンターの歴史

セルカウントは1950年頃までは主に血球計算盤によるマニュアルカウントでしたが、1950年台にW.H.Coulter博士が、電気抵抗を利用する粒子の測定原理を元にしたコールターカウンターの開発に成功したことで、自動カウントの歴史が始まりました。コールターカウンターは従来のマニュアル法よりも早い計測スピードと精度により高く評価されました。
1960年代後半にレーザー光の散乱を利用したフローサイトメトリーが開発されました。フローサイトメトリーは、蛍光標識した対象物の蛍光を検出することが可能なため、現在では分子生物学分野だけでなく、医学分野などでも用いられています。
1990年代には、イメージャーを利用した自動セルカウント装置が登場しました。イメージャーを利用する装置は比較的安価なことや、コンパクトであること、メンテナンスが容易であることなどから、イメージャーのセルカウンターを選ばれるケースも増えています。

  • ~1950

    血球計算盤

    現在でもマニュアルカウントに使用されています。

  • 1950

    コールターカウンター

    カウントおよびサイジングの自動分析装置。最近では検査装置として使用されています。

  • 1960

    フローサイトメトリー

    コンピューターでの測定および分析を行う装置です。

  • 1990~

    イメージャー

    正確な細胞数と生存率を提供するイメージャーのセルカウンターが発売

Ⅱ.マニュアルカウント(血球計算盤)

血球計算盤は、フランスの医師、Louis-Charles Malassez氏によって発明されました。
英語のHemocytometerは=“Hemo”(Blood) + Cytometer (Device to measure cells)の意味で、チャンバーを作ることができる長方形の切れ込みがあるガラスの顕微鏡用スライドを指しています。
血球計算盤はマニュアルカウントに使用され、その特長は以下の通りです。

  • 顕微鏡で観察し、細胞数をカウントする
  • 体積が固定されているエリアの細胞数を測定することにより細胞濃度を計算する
  • ガラス製、ディスポーザブル製のものがある
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マニュアルカウントのプロセス

実際のマニュアルカウントは以下の手順により行います。

サンプルにトリパンブルーを添加し、混合(生存率測定のため)
スライドガラスチャンバーへ注入
顕微鏡にてカウント
カウント結果から細胞数を算出
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血球計算盤での測定例
3mLの細胞懸濁液の細胞濃度を算出する
血球計算盤へサンプルを注入して顕微鏡へセットする
4隅の大きな枠をカウント(赤で示したエリア1×1mm, 高さ0.1mm)。以下の図を例として、59+59+56+56÷4=平均57.5
計算:57.5(0.1mm3あたりの細胞数)に10を乗じて1.0mL当たりの細胞数とし、さらに1000を乗じて1.0cm3あたりの細胞数に換算する。つまり、57.5×10000=5.75×105個の細胞が1mLに含まれていることになる。従って、元の3mLの細胞懸濁液の中には、1.725×106Cellsが含まれていることになる。
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生存率の算出

マニュアルカウントで生存率を算出するため、トリパンブルーによる染色が用いられます。
死んだ細胞の細胞膜は透過性が高くなっており、図のようにトリパンブルーが内部に進入し青く染色されます。
青く染まった細胞=死細胞として、生細胞の数および細胞の全数をカウントし、細胞の状態を評価するために、生存率を算出します。
生存率(%)は下記の式で表される。

生存率(%)=生細胞数/全細胞数×100

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Ⅲ.自動セルカウント装置の種類

現時点(2019年6月)において、自動セルカウント装置は、その原理に基づいて以下の3種類に分類されます。

コールターカウンター
  • 電気抵抗に基づく
  • 開口部を通る際の電気抵抗の変化を測定することにより、細胞のサイズと数を特定する
  • Wallace H. Coulter氏によって開発

 

▶ メリット :測定が早い、正確性が高い、コストが低い

▶ デメリット:有用性が低い(カウントおよびサイズ特定のみ)、細胞と同等のサイズを持つ他の粒子との見分けがつかない

  • Wallace H. Coulter
    コールターカウンターを開発
  • 流路
    細胞は定められた流路に従い細孔を通過する
  • 測定原理
    細胞が細孔を通過した際の電気抵抗の変化を測定する
  • 細胞数測定
    流れる細胞同士の距離が近いと、2つの細胞が1つとカウントされる場合がある

 

フローサイトメトリー
  • レーザー技術に基づく
  • 個々の細胞の特性(サイズなど)を分析
  • 初期のフローサイトメトリーはコールターの特長を用いて開発

 

▶ メリット :高感度、高精度、蛍光に対応

▶ デメリット:高価、高圧による細胞へのダメージ、メンテナンス

  • Flow+Cyto+metry
    流れる細胞にレーザーを照射する
  • 流路
    細胞は定められた流路に従い細孔を通過する
  • 測定原理
    前方散乱光(FSC)により細胞サイズを、側方散乱光により細胞の構造を検出する
  • 細胞数測定
    蛍光物質で標識した細胞はレーザー光によって励起し、基底状態へ遷移する際に蛍光を発するため、その蛍光を検出器で検出する

 

イメージャー
  • 顕微鏡画像に基づいて細胞数を測定
  • マニュアルの細胞数測定のプロセスを自動化し、細胞数を測定および分析できる

 

顕微鏡操作を自動化

細胞測定のプロセス:スライドに細胞懸濁液を注入し、イメージャーベースのセルカウンターにセットするだけ

  • FACSCOPE B
    セルカウントのニーズを満たす高性能セルカウンター
  • 専用スライド
    専用スライドにアプライする
  • 測定原理
    画像処理により、細胞を認識しカウントする
  • 細胞数測定
    トリパンブルー染色などにより、生細胞と死細胞数のカウントも可能

 

Ⅳ.自動セルカウントとマニュアルカウントの比較

自動セルカウントとマニュアルカウントのメリットとデメリット

メリット・デメリット マニュアルカウント 自動カウント
メリット
  • 正確性が高い
  • 時間と労力の削減
  • ヒューマンエラーの削減、再現性の向上
  • 高濃度でも簡単に測定可能
  • 安全性の向上
デメリット
  • 時間がかかる
  • ヒューマンエラー
  • 細胞認識のエラー
  • 高価、メンテナンス
  • コストがかかる
  • メンテナンスが必要な場合がある
  • 専用試薬が必要な場合がある

 

マニュアルカウントの問題は自動化により改善できます

マニュアルカウントの問題 自動セルカウントによる解決策
時間の消費 時間と労力の節約
ヒトによる細胞認識の違い・ヒューマンエラー 再現性の向上、ヒューマンエラーの低減
サンプリング・計測エラー 最小限の計測エラー
サンプリング容量・ピペッティングのエラー 最小限のサンプリングエラー
バイオハザード 安全性の向上
高濃度サンプルの計測 高濃度サンプルの計測が可能
Ⅴ.イメージャー型のセルカウンターを選択すべき理由

イメージャー型のセルカウンターは以下のような特長があります。コスト面やサイズ面、機能を兼ね備え、使用方法も簡単なイメージャー型のセルカウンターは、初めてセルカウンターを導入する方にもおすすめできる装置です。

  • POINT1. 使用方法が簡単でサイズが小さい
  • POINT2. 特定の試薬を必要としない
  • POINT3. メンテナンスが不要(クリーニングが不要、コンタミしない)
  • POINT4. 結果確認のための画像取得が可能
Ⅵ.FACSCOPE Bのご紹介

弊社は2019年4月1日(月)に自動セルカウンターFACSCOPE Bを発売いたしました。
FACSCOPE B は、全自動のステージ、オートフォーカス、画像処理技術を搭載した自動セルカウンターで、迅速に画像を取得し、高機能アルゴリズムによる優れた画像識別技術で正確な細胞計測結果を提供します。
専用のディスポーザブル細胞計数盤 C-Slide には、改良ノイバウエルパターンが刻まれており、マニュアルカウントにも対応しています。
同時計数サンプルは4チャンネル/枚、専用試薬も不要で、コスト削減にも貢献します。
詳しくは下記リンクからご覧ください。