アプリケーションノート自動ライブセルイメージングシステム

Curiosis社Celloger Mini Plus
ライブセルイメージングシステム
384ウェルプレートによるヒト大腸がん
オルガノイドのタイムラプスイメージング
ワケンビーテック株式会社
Curiosis社 Celloger Mini Plusは、CO₂インキュベーター内に設置し、庫内環境を乱すことなく、培養細胞やスフェロイドなどをタイムラプス撮影できる小型のライブセルイメージングシステムです。
Celloger Mini Plusは、培養容器(ステージ)ではなく、カメラ(レンズ)が設定した各ポジションに移動して撮影できるため、浮遊細胞、胚、スフェロイド、オルガノイドなど、振動で位置がずれてしまうようなサンプルの撮影にも適しています。更に、ディッシュやフラスコ以外に、96ウェルプレートや384ウェルプレートなどであっても、複数のポジションの画像を簡便な設定で撮影することができます。
本アプリケーションノートでは、Celloger Mini Plusを使用し、384ウェルプレートによるヒト大腸がんオルガノイドについて、効果的にタイムラプスイメージングを実施できた事例をご紹介します。
本アプリケーションノートの作成に当たり、東京女子医科大学 医学部 生化学講座 田中正太郎様に多大なるご協力およびデータ掲載のご承諾をいただきましたことをここに深く御礼申し上げます。
| 1. | 材料および使用機器 | |||
| (1) | 用いたオルガノイドおよび培地 | |||
| 1) | ヒト大腸がんオルガノイド (京都大学大学院医学研究科クリニカルバイオリソース研究開発講座(井上正宏特任教授)のご厚意による) |
2) | 培地: |
DMEM/F-12(FUJIFILM Wako Pure Chemical Corporation,042-30555) StemPro hESC SFM(Thermo Fisher Scientific,A1000701) Penicillin-Streptomycin(10,000 U/mL)(Thermo Fisher Scientific,15140122) *詳細は以下の文献をご参照ください。 Coppo R,STAR Protocols 4,102395(2023)September 15,2023 WEBサイトはこちらからご覧ください (外部リンクにアクセスします。) |
| (2) | 用いた培養プレート | |||
| PrimeSurface 384Uプレート (住友ベークライト株式会社 #624-01441) ※低吸着加工が施されている |
(3) | 使用したCO₂インキュベーターおよびイメージング装置 | ||
| 1) | CO₂インキュベーター: | Forma™ Direct Heat CO₂ Incubator,184 L (Thermo Fisher Scientific社 #310) |
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| 2) | イメージング装置 : | Celloger Mini Plus(Curiosis社 #CRCLG-MPBG10) | ||
| (使用したモデルの主な仕様) | ||
| 対物レンズ | : | 10倍 |
| 視野 | : | 0.57mm × 0.43mm |
| カメラ | : | フル電動xyz移動、モノクロ5MP CMOS |
| 撮影モード | : | 明視野、蛍光(緑) |
| 主な機能 | : | タイムラプス撮影、オートフォーカス、Zスタック、 ステッチング(最大7 × 7視野) |
| その他 | : | PCによるコントロール |
| 2. | オルガノイドの調整プロトコルおよびタイムラプス撮影条件 | |
| 1) | 384マルチウェルプレートにあらかじめ40µLの薬剤入り培養液を添加しておく(終濃度の2倍の濃度で調整) | |
| 2) | マイクロピペットでがんオルガノイドを40µLの培養液とともに1個ずつ吸引し、1)のマルチウェルプレートに取り分ける | |
| 3) | 2)のプレートをあらかじめ37℃インキュベーターに設置しておいたCelloger Mini Plus(対物10倍)にセットする | |
| 4) | Celloger Mini Plusで観測・撮影ポジションを設定 プレートの中心付近および4隅のウェルをライブイメージングし、いずれのウェルでもオルガノイドがなるべく センターにくるようxy座標を調節(z座標は輪郭が最も明瞭になる高さとした) 全てのウェルにコピー&ペースト(全ウェルで「ウェル内のxyz座標」が同一になるよう設定) |
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| 5) | 4)の設定終了時を開始時刻として、タイムラプス撮影(0/8/16/24時間) (「明視野のみ」、「オートフォーカスOFF」の設定) |
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384マルチウェルプレートのすべてのウェルについて鮮明な画像を得ることができた(結果1)。4回のタイムラプス撮影の間、それぞれのオルガノイドのズレや移動はほぼ確認されなかった。このためサイズの増大や光透過性の変化を精密に比較することができた(結果2)。がんオルガノイドは大きさを揃えて調整することが難しいため、安定に再現よく撮影できることは解析結果の精度の向上に強く貢献する。
(結果1)プレート全体のタイリング画像
(結果2)N4(DMSO添加)およびG7(Drug添加)ウェルのタイムラプス撮影画像
G7(Drug添加)ウェルでは、N4(DMSO添加)ウェルと比較し、薬剤効果によって細胞死が進行する過程(増殖の頭打ち、不透明化)を明瞭に観測することができた。
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