アプリケーションノート自動ライブセルイメージングシステム
Z-Stack 機能を利用したゼブラフィッシュの観察
Celloger Mini Plusを使用
ゼブラフィッシュは、マウスとともにエピジェネティクスや臨床研究、神経科学研究などの生物学的研究において広く使用されていることがよく知られている実験動物です。主な理由に、胚や幼体の遺伝子操作が容易な点、サイズが小さく透明度が高いことによる顕微鏡での観察のしやすさが挙げられます。
このアプリケーションノートでは、Celloger Mini Plusを使用したゼブラフィッシュの観察について紹介いたします。Celloger Mini PlusにはZ-Stack機能が搭載されており、自動的にマルチレイヤー画像を生成します。また、Celloger解析ソフトウェアには、マルチレイヤーの蛍光画像を簡単に結合することができるマージ機能が搭載されています。これらの機能を利用することで、研究者は1つの画像で3次元(3D)構造を観察することができます。当アプリケーションノートでは、この機能を用いて緑色蛍光タンパク(GFP)を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュ(幼生)を観察しています。詳細は次のステップ1および2をご覧ください。
細胞で構成される組織のような3D構造は、焦点を変えることで様々な情報を得ることができます。つまり、様々な焦点を認識できることが重要です。レイヤー(ステップ)間の距離、取得する画像の数(N, N’)を設定することにより、Cellogerは設定位置(Zポジション)の上下で、定められた間隔(ステップ)のマルチレイヤー画像を取得します(図1)。各XY座標で異なるZ位置の設定が可能なため、様々な座標で異なったZ-Srack機能を実行することができます。
Zスタック機能について
このアプリケーションノートでは、蛍光イメージングが可能なCelloger Mini Plusを用いてトランスジェニックゼブラフィッシュのZスタックイメージングを行いました。3次元の幼生の各パートにおける許容焦点面はそれぞれ異なるため、電動駆動式カメラを操作し、適切な焦点面を確認しました。確認の結果、上下の焦点面をZ=4.585(上)、Z=4.685(下)に設定し、スキャンポジションとなる中間点をZ=4.635に設定しました。さらに、スキャン位置を中央として上下に10μmの間隔でそれぞれ5枚ずつ画像を取得するよう設定を行いました(図2)。
図3はゼブラフィッシュの各ポジション(Bottom plane、Set position、Top plane)の焦点面の写真です。Bottom planeでは、頭部の形がはっきりとわかり、Top planeでは腹側部がはっきりと見えます。
マルチレイヤーイメージング(Zスタック)は3Dモデルを観察する上で必須の機能です。ただ、マルチレイヤーイメージングで得られた複数の画像から、結果を理解するには労力や時間が必要となります。Celloger analysisソフトウェアにおける複数の層の蛍光画像を一つに統合するZ-projection機能により、1つの画像で3Dサンプルを観察することができ、これにより得られる情報も多くなります。
Z projectionは、各XY位置における複数のZ座標の蛍光画像を統合するという方法です。統合する際の設定として、"maximum”と"average”の2種類があります。“maximum”は複数のZ座標で最も明るい部分を採用して統合します。一方で、”average”は複数のZ座標の平均的な明るさを算出し、その明るさで統合します(図1)。さらに、”add deviation value”という画像補正要素を加えることで、より鮮明な画像を得ることができます。
Celloger analysisソフトウェアで、Z-stack機能を使用して取得した画像を開き、Z-stackタブにある”merge”ボタンをクリックすると、Z-projection画像が得られます(図2)。どのprojection方式が良いかはサンプルにより異なりますので、各方式の結果を確認することを推奨いたします。図3はprojectionに”maximum”方式と”add deviation value”オプションを適用して、3つの画像を統合した結果です。一番下の焦点面で最も鮮明に捉えられた頭部の構造と一番上の焦点面で見られる腹側部の独特な構造が、projection機能を用いて1枚の画像として表現されています。
Celloger Mini Plusを使用し、ゼブラフィッシュの鮮明な蛍光画像を得ることができました。3次元構造の複数層の情報が、鮮明な1つの画像へ統合されました。この実験は、様々な研究に使用されるスフェロイドやオルガノイドなど、その他の3次元構造のサンプルにおいても3D画像が得られることを示唆しています。
翻訳・文責:ワケンビーテック株式会社 企画推進部
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