製品紹介

正しい凍結保存液の選び方

長年行われてきた細胞の凍結保存は、実験レベルから臨床レベルまでの様々な目的で行われる細胞保存において、重要な役割を果たしています。細胞凍結保存の基本的なプロセスとしては細胞を凍結し、超低温、または極低温下ですが、凍結保存を適切に行う上では、凍結保存液の選択が重要です。当記事では、凍結保存液の重要性を掘り下げ、また、細胞を適切に保存するために、使用を検討するであろう自家製、市販の凍結保存液について説明します。

凍結保存液の重要性

凍結保存液は、細胞構造にダメージを与える氷晶形成を防ぐことにより、細胞を保護します。従って、適切な凍結保護剤や添加剤を選択することは、細胞・遺伝子治療(CGT: Cell and Gene Therapy)研究、特にプライマリー細胞や多能性細胞などの繊細な細胞を扱う場合において、非常に重要です。

自家製保存液について

特に、大量の不死化細胞株を扱うような場合には、自分で凍結保存液を調製する研究者もいます。DMSO混合液や培地に加える血清を含む一般的な自家製保存液の調製法は、氷晶の形成防止や凍結中の細胞収縮防止を目的としています。自家製の保存液は、金銭的にはメリットがありますが、繊細な細胞を扱う場合や、特別な要件がある場合は、それに合わせて調製方法を変更することが重要でしょう。

市販品について

繊細な細胞や一貫性が求められるような研究では、市販の凍結液が信頼できる選択肢となります。こういった製品には、大抵血清の代替物質が使われており、ロット間のばらつきリスクを低減しています。組成が明確で、また品質が管理されている凍結保存液を使用することで、特に繊細な細胞を扱う場合には、より再現性を高めることができ、また長期的にはコスト削減につながります。

CryoStorの利点

CryoStor®は、USP/Multicompendialグレードの原料を使用してcGMP基準に従って製造されており、長期(数年)安定性を有しています。また、ユーザーに均質で、高品質、高性能な製品を届けるため、BioLife Solutions社のQMSに従って品質管理が行われています。CryoStorには2%、5%、10% DMSO含有のラインナップがあり、使用する細胞の種類に合わせ、ユーザーが最適なDMSO濃度を選択することができます。また、大きな特長として、CryoStorは血清やタンパク質を含んでいません。
CryoStorには様々な容量、容器を用意しており、スケールアップにおいても柔軟性を提供します。CryoStorは、包括的なソリューションを提供するだけでなく、様々な要求にも対応します。

HypoThermosol FRSについて

HypoThermosol FRS®(HTS-FRS)は、細胞や組織などを低温化(2℃~8℃)で長期的に保存するために最適化された保存液です。HTS-FRSは独自の組成により、低温保存時の細胞の分子生物学的反応に対応します。低温状態で、細胞内のバランスが取れる濃度になるよう、主要なイオンが含有されています。さらに、保存プロセス全体で細胞を保護できるよう、pH緩衝材やエネルギー基質、フリーラジカルスカベンジャー、浸透/膨張安定剤など、必要不可欠な成分も含まれています。

凍結保存液選択のリソース

BioLife Solutions社には、細胞保存に関する専門家チームあります。過去の研究による経験から話す場合でも、過去に行われた科学的研究の文献を案内する場合でも、新しい種類の細胞保存実験の設計を支援する場合であっても、BioLife Solutions社が保存液選択のお手伝いをいたします。(※)
次の表は、BioLife Solutions社により確認されている細胞のリストです。(これは一部であり、全ての細胞株を示すものではありません)

(※)当サービスに関して、BioLife Solutions社への問い合わせは弊社にて行います。ご質問がございましたら、弊社までお問い合わせください。

遺伝子治療(CGT)研究アプリケーションにおいてBioLife Solutions社凍結保存液使用実績(一部)
・B Cell ・Mesenchymal Stem Cell ・T Cell
・Dendritic Cell ・Monocyte ・Myogenic Stem Cell
・Human Pluripotent Stem Cell ・Myeloid Cell ・Killer Cell Research
・Granulocyte ・Neural Stem Cell ・Organ Cancer Cell
・Lymphocyte ・Progenitor Cell ・Immuno-oncology
・Regenerative medicine ・Advanced therapies
使用実績のあるリスト(一部)

結論

凍結保存が上手くいくかどうかは、それぞれの細胞の種類に合わせて、正しく凍結保存液を選択するかどうかにかかっています。自分で凍結保存液を調製するにせよ、市販品を選択するにせよ、凍結保存液の違いを理解することが、保存細胞の機能や生存率を維持するために重要です。この分野が発展する中、研究者も技術を磨き、また凍結保存の科学を進歩させる革新的なソリューションを探し続けています。

参考資料

Dance, A. (2017, March 14). Freeze It Right: Recipes and Products for Cryopreservation Media. Biocompare. https://www.biocompare.com/Editorial-Articles/334700-Freeze-It-Right-Recipes-and-Products-for-Cryopreservation-Media/.

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