アプリケーションノート自動ライブセルイメージングシステム

Application Note:Celloger® Mini Plusを用いたノコダゾール誘導細胞毒性の解析

1.はじめに

細胞毒性とは、化学物質や物理的な要因で、細胞が受ける障害の程度を指します。薬剤開発や生物学的研究において、細胞毒性アッセイにより細胞毒性を測定することは必要不可欠です。細胞には、アポトーシスやネクローシス、ネクロプトーシスなど、様々な細胞死プロセスを引き起こす複雑なシグナル経路があります。しかし、ほとんどの細胞毒性アッセイはエンドポイントの結果を測定するもので、薬剤に対する細胞の動的応答を研究することは難しいと言えます。

このアプリケーションノートの目的は、リアルタイムイメージングを利用した細胞毒性アッセイのパフォーマンスをテストすることです。そのため、様々な濃度のノコダゾール(抗がん剤)で処理した細胞を蛍光色素で染色し、Celloger® Mini Plusを用いて細胞死のモニタリングを行いました。
タイムラプスイメージングで、ノコダゾールの濃度に依存してアポトーシスが増加することを観察し、またCelloger® Mini Plusに付属の解析ソフトウェアを用いて、アポトーシスの定量化およびグラフの作成を行いました。

2.方法

自動セルカウンターFacscope Bを使用してHeLa細胞をカウントし、48ウェルプレートに、1×104個/ウェルの細胞を播種しました。オーバーナイトで培養した後、様々な濃度(16.625nM、31.25nM、62.5nM、125nM、250nM)のノコダゾールで処理しました。またこの段階で、細胞死に伴い細胞膜に障害を受けた細胞のDNAに結合するCellTox緑色色素(Promega, G8742)をサンプルに加えました。インキュベーター内に設置したCelloger® Mini Plusで、1時間おきに48時間、細胞の画像を撮影し、解析ソフトウェアにより解析を行いました。細胞死の割合(%)は、蛍光カバー率(=死細胞)÷明視野コンフルエンシー(全細胞)で算出しました。

3.結果

様々な濃度のノコダゾールで細胞を処理し、イメージングを行った結果、濃度依存的に細胞の形態が変化し、またコンフルエンシーが低下することが明視野にて観察されました(図1A、B)。さらに、CellToxで染色された死細胞の蛍光イメージングから得られた蛍光カバー率や細胞死の定量化により、蛍光染色された細胞の割合がアポトーシスに伴って増加することが示されました。(図1C)

図1.タイムラプスイメージングを利用したノコダゾール濃度依存的細胞死の解析



  • ノコダゾールの各濃度の明視野および蛍光のマージ画像(24時間毎)。緑色の蛍光は死細胞を示している。(スケールバー:200μm)
  • 全細胞のコンフルエンシー(%)グラフ。
  • 細胞死(%)グラフ

4.結論

Celloger® Mini Plusライブセルイメージャーは、インキュベーター内で明視野画像と蛍光画像を同時にイメージングすることが可能です。可動式のカメラにより、ユーザーの設定に合わせ、セットされた間隔で様々なポジションのイメージングが可能です。解析ソフトウェアを使用することで撮影した画像のコンフルエンシーを算出し、コンフルエンシーグラフを作成することもできます。また、蛍光カバー率を測定することにより、ノコダゾールの濃度によるアポトーシスの定量化が可能となります。


翻訳・文責:ワケンビーテック株式会社 企画推進部

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