細胞培養にかかわる問題解決力
マイクロプレートを用いた各種実験において、避けられない最大の問題点がサンプルの蒸発です。プレート外周部のウェルは中心部のウェルに比べて周囲環境の影響を受けやすいことから、特に外周ウェルで培地の蒸発量が多くなる傾向があります。
エッジ効果と呼ばれるこの特性は、特に384ウェルや1536、3456ウェルといった高密度プレートにおけるサンプル蒸発において、実験の精度や再現性に大きな影響を与える可能性があります。
エッジ効果軽減のための一つの方法として、培養中の周囲環境を可能な限り一定に保つことが挙げられます。例えば、インキュベーターのドア開閉回数を減らす、分割チャンバーのインキュベーターを使用するなどの方法です。
ですが、複数人でインキュベーターを使用している場合や、資源の問題から、ドア開閉回数を減らしたり、新しい機器を購入することが難しい場合もあります。
当社では、細胞の移送・個別管理用容器である「セルロッカー」を販売しております。セルロッカーは0.2μmメンブレンフィルターを装着した容器で、環境変化に対する安定性に優れ、コンタミネーション対策にも有効です。
本来、セルロッカーは個別管理・コンタミネーション対策・移送用容器として使用するものですが、環境変化に対する安定性に優れていることや、輸送用カバーを取り付けることで通常のインキュべーター内で使用できること、また新しい機器を購入するよりも安価に導入することが可能であることから、エッジ効果でお悩みのユーザー様に、Thermo Fischer社のセルロッカーの使用を提案いたしました。
実際の提案例
プレートおよび、湿度維持のための蒸発水源をセルロッカー内に配置し、インキュベーター内でインキュべートさせます。セルロッカー内部は環境変化に対する安定性に優れており、セルロッカー内部の設置されたプレートは、ドアの開閉等の影響を受けにくく、エッジ効果の低減が期待できます。
実際にセルロッカーを導入されたお客様からは、96ウェル以上のプレートでエッジ低減効果を実感できたとのお声をいただいています。