アプリケーションノート
fluidlab R-300
染色フリーの生存率測定
※本資料はanvajo社が作成した資料(英文)を当社が日本語に翻訳したものです。本ページ下部のリンクボタンから、原文のPDFファイルをダウンロードすることができます。日本語訳に当たっては可能な限り読みやすいよう、一部内容を簡素化している場合がございます。英語原文と日本語訳の内容に相違がある場合は英語原文の内容が優先いたします。必ず英語原文と併せてご覧ください。
fluidlab R-300は、デジタルホログラフィック顕微鏡(digital holographic microscopy : DHM)という染色フリーの技術を用いて、サンプルの細胞数、生存率を直接測定しています。
明視野顕微鏡に対し、DHMは光学レンズを使用しません。その代わりにコンピューターで分析できる細胞の「ホログラム」を作り出します。
重要なこととして、これらのホログラフィックイメージには、細胞構造の屈折率の違いに基づいた細胞形態および細胞質組成の両方の情報が含まれており、この性質によってDHMのイメージング技術は死細胞測定など、様々な精密測定に適した方法となっています。
デジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)は、染色フリーのセルカウント・生存率測定を可能にする最先端の定量位相イメージング技術です。
DHMでは、まずサンプルに光が照射されます。光がサンプルを通過する際に、その一部は屈折率に従って回折し、また一部はサンプルを透過します。
サンプル通過後、回折光は非回折光と相互に作用してカメラに当たり、ホログラムが生成されます。
ホログラムは画像取得のためデジタル処理により再構築されます。この画像には、培養細胞サンプルの細胞膜の状態やタンパク質量などの有益な情報が含まれています。
明視野顕微鏡は、検体による光の吸収に基づき、レンズを利用して画像を生成します。生物学的サンプルは本来無色であったり、また光をほとんど吸収しないためコントラストが低いものが多いです。
従って、明視野顕微鏡を使用する場合、コントラストを上げて視認性を高めるために、サンプルの染色がよく行われます。
一方DHMでは、画像はサンプルの屈折率に基づいて生成されるため、レンズを一切使用しません。生物学的構造の屈折率により、光とどのように相互作用するかが決まります。屈折率には、細胞膜やタンパク質が多く含まれる部分の境界面における光学密度の違いに関する情報が含まれています。
この理由により、ホログラフィック画像は、同程度の解像度の明視野画像よりも多くの情報を含んでいます。
しかし、この情報は必ずしも目で見て容易に理解できるものではありません。そのため、fluidlab R-300は畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks : CNNs)を利用し、死細胞などの細胞ステータス分類を行っています。
細胞死のプロセスには、体積の変化や断片化など劇的な細胞形態の変化を伴います。In vitroアッセイでは、通常トリパンブルーなどを使用して細胞膜の状態を評価し、生細胞と死細胞を区別します。
しかし、試薬への長時間の曝露は細胞毒性を誘発する可能性があり、これが原因で細胞生存率が本来とは異なった値になってしまう場合があります。
対して、染色フリーのDHM技術は、細胞死のプロセスで起こる形態的、構造的変化を強調して表示することができます。定性的な特徴として、生細胞は細胞膜のような暗い輪郭と、明るくはっきりとした細胞質を持っています。
一方、死細胞は初めのうちは暗い物体として見えますが、その後は細胞膜の断片化や核溶解(核膜の断片化)、細胞質の漏出などにより、コントラストや明確な境界線が失われます。
fluidlab R-300は機械学習アルゴリズム(CNNs)を利用し、イメージ内の細胞をその形態に基づいて検出、カウントし、さらに各細胞の生存状態を決定します。
DHMを用いた細胞生存率の測定は、細胞膜のコントラストと細胞内の屈折率に比例するシグナルによって変わります。
fluidlab R-300は、生存率を生細胞、死細胞の2つのクラスで分析を行います。分析不可能の細胞は、通常と異なった挙動を示すものや、十分に信頼性のある分析ができなかった細胞のことを指します。この分析不可能の細胞は、総細胞数のカウントや、生存率の決定には含まれません。
分析の最後に、サンプルの生存率および生細胞、死細胞の数が表示されます。
さらに、再構築されたホログラフィック画像において、細胞は生と死で色分けされた四角で囲まれて表示されます。
ヒストグラムは、生細胞と死細胞の数を、その大きさに分けて表しています。
特定サイズの細胞のみを分析するため、手動でサイズを調整することが可能です。細胞の萎縮やその他の形態学的変化のため、死細胞と生細胞集団の平均サイズは特に違いが出ることが予想されます。
以上を纏めると、fluidlab R-300は、従来の染色による方法と同程度の正確性と効率性を持った測定を、染色なしで行うことができます。
以下のリンクボタンから、PDFファイルをダウンロードできます。