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      > トピックス > 特集記事 > 適切なサンプル保管に!
      液体窒素取り扱いの手引き(容器編)公開中!!

      適切なサンプル保管に!
      液体窒素取り扱いの手引き(容器編)公開中!!

      2017/10/16
      本資料について
      本資料は液体窒素保存容器の構造や、試料収納具 (クライオケーン、キャニスター、etc...)について、可能な限り簡潔に解説したものです。容器の構造を理解することは、容器の安全な使用や、試料の適切な保管に繋がります。
      また、液体窒素保存容器の用途や構造をご理解いただくことで、液体窒素凍結保存容器のご購入される際の参考資料としてもご活用いただけます。
      PDF版は、本ページ下部のリンクからダウンロードできます。
      *本資料の使用、ダウンロードなどは、弊社サイトポリシーの免責事項等をお読みいただき、よくご理解された上で行ってください。

       

       

      液体窒素取り扱いの手引き(容器編)

      目次
      1. 液体窒素凍結保存容器の概要
      2. 凍結保存容器の構造(共通)
      3. 凍結試料反動容器(ドライシッパー)の構造
      4. 液相保存と気相保存
      5. 液相保存容器と気相保存容器
      6. 各容器の特長
      7. 試料収納具
      8. 付属機器
      9. 液体窒素容器選択時のポイント
      10. 容器関連FAQ

       

      はじめに

      液体窒素凍結保存容器は、研究分野においては主に生物資源の保存に汎用される容器です。容器の構造を知り、取り扱いをしっかりと行うことで、試料の適切な保管や、安全な使用が可能となります。また、容器の導入を検討される場合は、容器の構造、用途、保存試料の種類などから適切な製品を選択する必要があります。本書では容器の構造や取り扱いの他、容器選択のポイントを記載し、日常の取り扱いから、容器購入時のポイントまでを可能な限り簡潔に記載しています。

       

      液体窒素凍結保存容器の概要

      【使用目的】

      バイオ関連分野においては、主に精子や血液、細胞などの生体試料を超低温下(-150~-196℃)で保存するために使用されます。この温度下では代謝活動、化学的反応が停止するため、長期間、安定的な保存が可能です。

      【種類】

      本書では、液体窒素凍結保存容器を下記の7種類に分類します。
      それぞれの容器詳細については後の項目にて説明します。
      a)小型・中型凍結保存容器(ケーン/ストロータイプ)
      b)小型・中型凍結保存容器(ボックスタイプ)
      c)大型凍結保存容器
      d)凍結試料搬送容器(ドライシッパー)
      e)可搬式液体窒素供給容器
      f)デュワー瓶(デュワーフラスコ)

      【参考:液体窒素凍結保存容器と電気式フリーザーの比較】
      超低温下での保存には液体窒素の他、電気式フリーザーも使用されています。それぞれのメリット、デメリットを考慮し、装置を選択してください。

      液体窒素凍結保存容器 電気式超低温フリーザー
      メリット ・停電時でも一定期間は温度維持が可能

      ・-160℃(気相保存)~-196℃(液相保存)

      ・手間がかからない
      デメリット ・液体窒素を補充する必要がある

      ・液体窒素の取り扱いに注意が必要

      ・電力供給が停止した場合温度が上昇する

      ・-150℃が前後が限界

       

      △目次へ

       

      液体窒素凍結保存容器の構造(共通)

      凍結保存容器の構造は図にあるように、外槽と内槽およびネックチューブから構成される二重構造で、外槽と内槽の空間は液体窒素の蒸発を最小限にするため、高真空断熱が施され、さらに断熱材が巻かれています。また、ネックチューブは、熱侵入を抑えるために、小型・中型容器ではエポキシ樹脂、 大型容器では、極薄のステンレス板を用いています。

      <注意>
      内槽は、ネックチューブにより外槽内で吊るされた状態になっています。容器を傾けたり、横転させるとネックチューブに大きな負担がかかり破損するおそれがあります。ネックチューブが破損すると、真空断熱層は失われます。横倒しは絶対にしないでください。

       

       

      凍結試料搬送容器(ドライシッパー)の構造

      凍結試料の搬送に使用するドライシッパーの構造は下記の通りです。

      1. 内槽
      2. ネックチューブ
      3. 外槽
      4. 断熱材
      5. ハンドル
      6. キャッププラグ
      7. キャニスター
      8. 液体窒素吸着剤

      重要な役割を担っているのが液体窒素吸着材です。液体窒素を吸収するため、万が一転倒しても液体窒素が漏れ出ず、安全な搬送が可能となります。

      CryoHandy

      大陽日酸株式会社が開発した、水筒ほどの大きさの小型ドライシッパーです。1 ~ 2mL チューブを最大8本設置可能で、-150℃以下を4時間維持可能です。携帯性に優れ、CPC/CPF、クリニック/ 病院内での搬送など、近距離の凍結試料搬送に最適な製品です。
      * 製品の詳細は弊社HP からご覧いただけます。

      △目次へ

       

      液相保存と気相保存

      試料の保存方式には液体窒素の液相下で保存する方法と、気相下で保存する方法があります。日本では気相保存が主流ですが、目的によって使用方法が異なるため、優劣があるというわけではありません。それぞれのメリット、デメリットや、保存する試料の特性や収納具に合わせて保存方式を選択してください。

       

      液相保存容器と気相保存容器

      液相保存容器

      液相保存容器は、容器内に液体窒素を満たして使用します。試料を液体窒素に浸漬するため、超低温で安定した保存が可能です。

      【液相保存の特長】
      ・-196℃の超低温で保存可能
      ・温度分布が均一
      ・液体窒素の補充が無くても長時間温度維持が可能
      ・液体窒素中の微生物によるコンタミネーションリスクが否定できない
      ・クライオチューブの保存では、キャップの緩みなどにより、試料容器内に液体窒素が侵入し、取り出した場合に膨張破損する可能性がある
      ・試料の出し入れによる容器内の温度変化が最小限

      スクリューキャップチューブの液相保存について
      標準のスクリューキャップ式クライオチューブを液相で保存した場合、内部に液体窒素が侵入するリスクがあります。液体窒素は気化すると体積が650 ~800 倍へ増加するため、この場合に液体窒素から試料を取り出した際、膨張により破損する恐れがあります。

       

      気相保存容器

      気相保存容器は、容器下部のトレイに浸らない程度にまで液体窒素を充填し、トレイ面より上部で試料を保管します。液体窒素と試料が直接接触しにくいため、コンタミネーションリスクが低い状態で保存できます。

      【気相保存の特長】
      ・試料容器内に液体窒素が侵入せず、コンタミネーションリスクが低い
      ・液相と比較して操作性が良い
      ・保存温度が液相よりも高い(約-160℃)
      ・試料出し入れやフタの開け閉めなどに伴う容器内の
      温度変動リスクがある

      △目次へ

       

      各容器の特長

      容器の特長を知ることは取り扱いや容器選択時に重要です。本書では容器を下記の7種類に分類します。

      a) 小型・中型凍結保存容器(ケーン/ストロータイプ)

      液体窒素容量が175L以下の液体窒素凍結保存容器が該当します。液相保存タイプが多く、-180℃以下での保存が可能です。小型と中型の違いは試料の収納本数や口径の大小によるものです。キャニスターという収納具にクライオケーンやストローを入れて保存します。基本的にはbのボックスタイプよりもこちらのタイプが主流です。

       

       

      b) 小型・中型凍結保存容器(ボックスタイプ)

      付属のボックスキャニスターにフリーズボックスを収納することが可能で、aに比べて収納力が落ちるものの、試料の管理がしやすいのが特長です。クライオチューブは750~6,000本程度収納が可能です。

       

       

       

      c) 大型凍結保存容器

      液体窒素を自動で供給して、3,000本以上のクライオチューブを保存したい場合に用いられます。液相保存・気相保存の両方のタイプがあり、試料や保存様式に合わせて容器を選択することが可能です。開口部が広く、フリーズボックスの収納がメインとなります。クライオチューブの場合、3,200~25,600本程度収納することが可能です。レベルマスターと呼ばれる液体窒素自動供給装置が装備されており、レベルマスターは、コントローラ、液面センサ、温度センサで構成されます。液体窒素の自動供給、液面監視、温度監視、アラーム機能等が大きな特長です。

       

       

      d) 凍結試料搬送容器(ドライシッパー)

      -150℃以下の状態で、凍結試料搬送に使用される容器です。液体窒素吸着材に液体窒素を吸着させ、気相環境下で搬送を行います。宅配便などで輸送する場合は、施錠可能な専用のケースを用います。長いものでは最大20日近く温度維持できるものもありますが、基本的にはカタログなどに記載された日数から1日~2日引いた日数での使用を推奨します。

       

       

      e) 可搬式液体窒素供給容器

      キャスターが付いており、50L~200Lの液体窒素を運搬することが可能です。液取り専用の容器であり、液体窒素を低圧で取り出すことが可能です。密閉型の容器であるため、内圧が上昇すると、安全弁から大気中に窒素ガスが放出されます。フレキシブルホースや配管を通じて、大型凍結保存容器と接続することで、液体窒素の自動供給が可能です。

       

       

       

      f) デュワー瓶(デュワーフラスコ)

      少量の液体窒素を貯蔵することができる開放容器で、理化学実験や、簡易的な液体窒素の運搬に使用する容器です。凍結保存容器と同様に、真空二重構造になっており、 液体窒素が気化しにくい構造になっています。

       

       

      試料収納具

      試料の種類や数によって、選択する収納具が異なります。用途に応じて最適な収納具を選択してください。

      a) ストロー

      主に精子保存用として使用される収納具です。一般的には液相保存で用いられます。

       

       

       

      b) クライオチューブ

      細胞などの試料を保存するために用いられるチューブです。スクリューキャップ式のものが主体で、液相保存には不向きです。一般的なクライオチューブの場合、液相保存には対応していません。液相保存では液体窒素が浸入することがあり、チューブ内の汚染や解凍時の膨張破損につながる危険性があります。

       

      c) High Security Tube

      アイオノマー樹脂を加熱溶着させることにより、液体窒素が浸入しない密封構造となるチューブです。液相保存で運用が可能な唯一のクライオチューブです。(2017/7時点)

       

       

      d)凍結保存用アンプル

      ガラス製の収納具で、開口部を溶融させて溶着するため密封性に優れます。ガラスのため、破損には注意が必要です。

      e) 液体窒素保存用バッグ

      臍帯血や末梢血などの血液保存用のバッグです。液相保存が可能です。

      High Security Tube について:
      フランスに本拠を置くCryo Bio System 社が開発したアイオノマー樹脂性チューブです。この樹脂は溶着性、耐低温性、強靭性に優れており、液相保存でもコンタミネーションや破損リスクを気にすることなく安心して試料を保管することが可能です。
      * 製品の詳細は弊社HP からご覧いただけます。

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      付属機器

      a) クライオケーン

      クライオチューブを装着して使用する保存用の器具です。ストローを収納するゴブレットという筒状の容器が付属したものもあります。

       

      b) カートンスリーブ

      クライオケーンを保護する筒状の容器です。ケーンを出し入れする際に、装着したクライオチューブが脱落するのを防ぐ目的で使用します。

       

      c) フリーズボックス

      クライオチューブやHigh Security Tubeを挿して保管する容器です。

       

       

      d) キャニスター

      液体窒素凍結保存容器の開口部に引っかけて使用する器具です。クライオケーン、またはストローを入れて使用します。ケーン用、ストロー用で大きさが異なりますので、目的に沿ったものを使用する必要があります。筒状のほか、フリーズボックスを収納できるタイプもあります。

       

       

       

      e) レベラー

      液体窒素凍結保存容器内の液体窒素残量を測定するための器具です。開口部から容器内に挿入して使用します。

      f) 液体窒素残量監視装置

      液体窒素の枯渇を予防するために使用する装置です。液体窒素が空量時と満充填時の重量から残量を算出し、残量が一定以下になると警報を発します。大陽日酸株式会社のAMDシリーズでは、11段階のLEDランプで、液体窒素残量を表示します。

      △目次へ

       

      液体窒素凍結保存容器選択のポイント

      液体窒素凍結保存容器は、試料収納具形状、試料数、使用用途によって、適切な製品を選択しなければなりません。
      ドライシッパーの場合は保持日数にも注意する必要があります。

       

      容器関連FAQ

      Q.充填時に注意することはありますか?

      A.液体窒素充填時は、原則としてネックチューブ下部までの充填が基本です。開口部まで充填するとネックチューブ(エポキシ樹脂)の劣化が早くなり、破損の恐れがあります。また、開口部まで充てんした後キャップをすると、あふれた液体窒素が真空排気口に浸入し、 容器が損傷するおそれがあります。 常温の容器にはじめて液体窒素を充てんする際は、容器が十分に冷却されるまでは窒素ガスが大量に発生しますので危険です。風通しの良い場所か換気設備が整った室内で作業を行ってください。

       

      Q.液体窒素の廃棄方法を知りたいのですが

      A.液体窒素を廃棄する場合、換気の良い場所でふたを開けて放置し、無くなるまで蒸発させるか、草地や砂利に流します。コンクリート面やアスファルト面に廃棄した場合、割れるなどして破損する可能性があります。水道管破裂などの恐れがあるので、下水に流してはいけません。

      Q.液体窒素凍結保存容器はどのように清掃すればよいですか?

      A.内部に液体窒素が残っていない状態にして、アルコール噴霧するか、アルコールを含ませた清浄な布で清拭してください。内部を乾燥させる場合はブロワーを使用してください。ドライヤーのような、高温になるもの(50℃以上)は、ネックチューブや液体窒素吸着材を痛める可能性があります。

      Q.液相保存・気相保存で液体窒素の蒸発量に差はありますか?

      A.大きな差はありません。

      Q.容器の劣化はどのように判定すれば良いですか?

      A. 満充填の状態から、定期的に残量を測定してください。レベラーまたは重量で液体窒素蒸発損失量を確認し、同期間での減少量が増加していれば容器が劣化しています。製造業者は1年に1回定期的に検査をすることを推奨しています。また、容器を長く使用するためには、年2回は乾燥させ、清掃を行ってください。

      Q.ドライシッパーの使い方を教えてください

      A.一般的な使用方法は下記の通りですが、原則として付属の説明書に従ってください。
      ネックチューブ下端まで液体窒素を注ぎ、ふたをして10~15分放置した後、再度ネックチューブ下端まで液体窒素を注ぎます。これを3~4回繰り返し、液体窒素の減りがおさまったら、ふたをしたまま24時間放置し、容器に残った液体窒素を捨てます。このとき、満充填した状態の重さ(カタログ等に記載されています)になっていることを確認して使用してください。使用状況にもよりますが、基本的にはカタログの保持日数から1~2日引いた日数での使用を推奨します。

      Q.ドライシッパー使用時の注意点はありますか?

      A.水が混入すると保持時間が短くなります。これを避けるため、購入後すぐに空の状態で重量を計測することをおすすめします。使用後に乾燥させて重量を測った際に、先に計測した空の重量よりも増加している場合は水が混入している可能性があります。この場合はカタログ通りの結果が得られませんので、事前に乾燥させてから使用してください。原則として、使用後は乾いた部屋などに置いてしっかりと乾燥させ、その後ふたをして保管してください。

      Q.ドライシッパーを電車で運んでも良いですか?

      A.原則的には輸送業者を利用してください。鉄道のほか、航空、船、バスなどに関しては運営会社に確認してください。

      Q.液体窒素蒸発損失量を少なく使うコツはありますか?

      A.蒸発率は容器の開口面積に比例しますので、開口面積が大きいほど蒸発量は多くなります。ふたの開放時間を少なくしたり、試料の出し入れをなるべく少なくしてください。

      Q.内部に試料を落とした場合はどうすれば良いですか?

      A.ふたを開けて暫く待つと、霞が無くなり、内部が見えるようになりますので、ライトで照らして確認してください。落下物が確認できる場合は専用手袋を装着し、火ばさみのようなもので取り出してください。落下物が確認できない場合は液体窒素を完全に蒸発させて取り出す方法しかありません。なお、容器内部を確認する際、顔を容器開口部に近づけたり、内部を覗き込むと窒息の危険性がありますので、容器開口部に顔を近づけることは絶対に避けてください。

      △目次へ


      参考資料
      大陽日酸株式会社「液体窒素凍結保存容器総合カタログ」
      Cryo Bio Systems社ホームページ

       

      編集 : ワケンビーテック株式会社・営業推進部・企画グループ
      監修 : 小原有弘/国立開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
      JCRB細胞バンク(培養資源研究室)
      協力 : 大陽日酸株式会社
      今村酸素株式会社
      (敬称略)

       

       

       

       

       

      初版:2018年1月20日

      △目次へ

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